シロアリの予防は本当に必要なのか?
― 建築のプロ目線で考える「やらなくてもいい家」の条件 ―
「シロアリ予防は5年ごとに必ずやりましょう」
住宅業界では、当たり前のように言われています。
しかし、建物の構造・管理状況・立地条件を正しく理解すると、
「必ずしも必要ではない家」があるのも事実です。
私は建築の立場から、
“シロアリが発生しやすい条件をつくらないこと”こそ最大の予防
だと考えています。
今回は、シロアリ予防をしなくても問題になりにくい家の条件を、
理由とともに解説します。
結論:条件がそろえば、薬剤による予防は必須ではない
まず結論から言います。
以下の条件を満たしていれば、
定期的なシロアリ予防工事をしなくてもリスクはかなり低いです。
① 新築時に「ベタ基礎+基礎全周換気(基礎パッキン工法)」である
これは最重要ポイントです。
なぜ大丈夫なのか?
- ベタ基礎は床下が全面コンクリート
- 土壌からシロアリが直接侵入しにくい
- 基礎パッキン工法により
床下の通風が安定して確保されている
昔の家(布基礎+床下土)のように、
「湿っていて暗くて風が通らない」環境とは根本的に違います。
👉 シロアリは“湿気と木”が大好物
👉 その環境を構造的につくっていない家は、そもそも発生しにくい
② 雨漏り・水漏れを放置していない
シロアリ被害の多くは、
構造よりも“管理不足”が原因です。
- 屋根や外壁からの雨漏り
- 給排水管の水漏れ
- エアコン配管周りの結露放置
これらを放置すると、
本来乾燥しているはずの木材が常に湿った状態になります。
👉 シロアリは「湿った木」にしか寄りません
👉 普段の点検・修理が、最大の予防策です
③ 建物周りに古い木材や腐った木を放置していない
意外と多いのがこれです。
- 古いウッドデッキの端材
- DIYで余った木材
- 薪や廃材を地面に直置き
これらは、
シロアリにとって最高のエサ場・繁殖地になります。
一度ここで増えたシロアリが、
「次は家の中へ」と移動するケースは珍しくありません。
👉 家の周囲にシロアリを呼び寄せないこと
👉 これも立派な予防です
④ 基礎全周換気を塞ぐような物を置いていない
基礎パッキン工法は、
通気が命です。
- 物置
- プランター
- 自転車
- タイヤ
- 外構の後付け構造物
これらを基礎に密着させると、
風の流れが止まり、床下に湿気がこもる原因になります。
👉 「基礎に物を寄せない」
👉 それだけで床下環境は大きく変わります
⑤ 年中湿気がこもるような立地ではない
立地条件も無視できません。
- 川沿い・谷地
- 山に囲まれて日当たりが悪い
- 地盤が常に湿っている
こういった場所では、
どんなに構造が良くても湿気対策が難しい場合があります。
👉 この場合は予防を検討する価値あり
👉 すべての家に同じ答えはありません
「予防工事=安心」ではない
ここで誤解してほしくないのは、
- 予防工事を否定しているわけではない
- 立地や管理次第では有効な選択肢
という点です。
ただし、
構造・管理・立地を無視して
「とりあえず5年ごとに薬をまく」
これは、建築的に見ると合理的とは言えません。
本当に大切なのは「シロアリが住めない環境づくり」
シロアリ対策の本質はシンプルです。
- 湿気をためない
- 木を濡らさない
- 侵入経路をつくらない
- エサ場を近くに置かない
これができていれば、
薬剤に頼らなくても、家は長持ちします。
まとめ
シロアリ予防は「やる・やらない」ではなく、
自分の家がどの条件に当てはまるかで判断するものです。
- ベタ基礎+基礎全周換気
- 雨漏り・水漏れなし
- 周囲に木材放置なし
- 通気を妨げない
- 湿気の少ない立地
これらを守れているなら、
過度に不安になる必要はありません。
「知らないから不安」ではなく、
「理解して判断する」
そんな住宅の考え方が広がればと思います。

